※本稿では『ファイアーエムブレム』を『FE』、『ファイアーエムブレム無双』を『FE無双』としています。

歴代の『無双』シリーズでも随一の戦略性です

『FE』ならではの戦略要素の取り入れ方

─ 先ほど話に出た「ダブル」もそうですが、システム的にも『FE』ならではの要素が多数取り入れられていますね。
臼田 初めて『FE無双』のお話を頂いたとき、僕の頭にパッと浮かんだのは、2Dのマップ上にユニットアイコンのキャラクターたちが並んでいる図でした。今作の指示を出す画面がまさにそれです。
─ なるほど。
臼田 やはり、全員個別に指示を出したくなりますよね。「このキャラはここを攻めさせたい」「このルートで進ませたい」…というような。そういう「『FE』をプレイしている時に出てくる欲求」を『無双』でも再現するために、武器の三すくみや特効、キャラチェンジ、飛行ユニットといったシステムを加えていきました。『無双』はもともと「タクティカルアクション」ですし、『FE』の戦術的な要素との相性は抜群でしたね。
─ 元からアクションの要素が強い『ゼルダ』などと違って、戦略シミュレーションである『FE』の要素を組み込むのは難しかったのではないかと想像していましたが、そうではなかったと。
臼田 はい。実際にゲーム上で動かす前に、まずマップを紙に書いて敵味方を配置して、「このキャラはこう進ませよう」などと話しあいながらシナリオを書いていったんですが、「このままボードゲームにできるんじゃないか?」と話していたほど深いですね。個人的には、歴代の『無双』シリーズの中でも随一の戦略性だと思っています。
─ 三すくみの相性なども、しっかり考えて戦略を立てる必要があると。
臼田 ただ、そこはいろいろなプレイの仕方ができる点ですね。
早矢仕 ポーズ画面で時間を止めて、『FE』のようにじっくり考えれば、悩んだだけの見返りはあります。しかし『無双』シリーズのようなアクションゲームですと、「時間を止めて考える」ことは邪魔な要素だと考える人もいると思うんです。『FE』ファンと『無双』ファンの両方のニーズに応えるため、ある程度自動的にキャラクターが動いてくれる「おまかせ」を取り入れました。
臼田 アクションが苦手な人は、作戦をじっくり練ることでクリアできますし、アクションを存分に楽しみたいという人は、仲間の指示を「おまかせ」にしてどんどん戦ってもらえればと。必ず、その人に合った攻略方法が見つかると思います。
早矢仕 「押しつけがましくならないように」ということは常に考えていましたね。
臼田 前回お話しした「レベルアップ演出のオンオフ」もそうですが、オプション的な設定についても、幅広い選択肢から選べるように意識しています。

「ロスト」の緊張感を味わってほしい!

─ キャラクターが「ロスト」するかどうかについても、選択できるとか。
臼田 ロストが無い『FE』って、あり得ないですよね(笑)。『覚醒』でも『if』でも、カジュアルとクラシックを選択することができましたし…。
早矢仕 絶対に入れないとだめだな、と(笑)。ただ、少しずつキャラクターを成長させていく『無双』シリーズにおいて、一瞬のミスでキャラクターをロストしてしまうのはかなり厳しいので、縛りプレイというわけではないですが、選択肢の1つとしてカジュアルとクラシックを用意しています。
臼田 クラシックで進めて、全員ロストせずにクリアを目指す遊び方も当然できます。
─ 途中からカジュアルとクラシックを切り替えることはできますか?
臼田 クラシックからカジュアルへ変更すれば、ロストしたキャラクターは全員復活します。
早矢仕 その逆の、カジュアルからクラシックへの変更はできないようになっています。プレイスタイルに合わせて好きな方を選んで頂ければと。
─ 例えばですけど、主人公以外全員ロストしてしまったら、1人で戦っていかなければいけなくなるということですよね?
臼田 もちろんそうなります。私も『紋章の謎』で存分に味わいましたけど(笑)、ロストによる「戦場の緊張感」をぜひ感じていただきたいです。
早矢仕 キャラクターを救援する場面など、今までの『無双』ではあえて無視する手もありましたが、「何としても助け出さねば!」という気分になると思います。より戦略を練る必要も出てきますし。
臼田 「杖」で仲間を回復することもできるので、効果的に使っていただければと。
─ 杖は武器の1つなんですか?
臼田 今作では、回復用のアイテムの1つとして登場します。自分にのみ使える傷薬、仲間を回復できる杖といった違いがありますね。
─ 的確なキャラクターチェンジも重要になってきそうですね。戦場で操作できるキャラクターは最大4人ということですが、5人以上選んで出撃できたりはするのでしょうか。
臼田 さらに多くの味方を出撃させられるマップもあります。プレイヤーが操作できるのは4人までで、それ以外の味方には指示を出して戦ってもらうことになりますね。さらに、マップによっては途中で新たな仲間が増えていく場合もあります。

『FE』各シリーズから登場する多彩な武器

─ 武器に関しては、「アーマーキラー」のような原作準拠の武器もたくさん出てくるようですね。
臼田 青銅・鉄・鋼といった基本的なものから、ポールアクスにドラゴンランスなど、いろいろな特性の武器が出てきます。
─ 『FE』シリーズ各作品から、多彩な武器が登場すると。
臼田 ただ「伝説の武器」については、今回の参戦作品に出てくるもののみとなります。伝説の武器は、キャラクターと対になって初めて意味がある物ですし。
─ そう言えば、今回明らかになった画面に「2P参加可能」の文字がありましたね。協力プレイはTVモードとテーブルモード対応とのことですが、画面は分割ですか?
臼田 はい、画面分割でそれぞれプレイできます。また、Switch版はおすそ分けプレイにも対応しています。
─ なるほど。今回はシステムを中心にいろいろとお聞きしましたが、そろそろお時間となります。それでは、読者へのメッセージをお願いします。
臼田 近々、新しい動画をお見せできる機会があると思いますが、戦略の深さにぜひとも注目してください! ユーザーの皆さんが、私にも思いつかないような攻略の仕方を見つけ出す場面もたくさんあるかと思います。システム的には戦略面を重視していますが、もちろんアクション部分も手は抜いていません。今回は解像度1080p、フレーム30fpsの動作が基本ですが、オプションの設定で解像度720p、フレーム60fpsでも動作しますので、アクション重視のゲーマーの皆さんにも見ていただければと思います。
早矢仕 発売日まで1か月と少しとなりましたが、プレイアブルキャラクターについては、これから畳みかけるかのように続々と発表していきますので楽しみにしていてください。『if』『暗黒竜』関連のほか、キャラクター以外の情報についても、まだまだお伝えしたい要素がありますので、ご期待ください。
プロフィール
回答者
(コーエーテクモゲームス)

プロデューサー
早矢仕 洋介
『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』から引き続きプロデューサーを務める。


ディレクター
臼田 浩也
『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』から引き続きディレクターを務める。